・露出象牙質支台歯を人工エナメル質支台歯に転換する修復法について
  :接着の導入では修復物の脱落防止を期待できない

エナメル質支台歯への修復はトラブルが少なかったが、象牙質支台歯への修復が中心となってから、歯科治療のトラブルが激増した。
口腔内に常在するストレストコッカスミュータンス連鎖球菌(S連鎖球菌)が多糖類をエサとして乳酸を産生するために、歯のヒドロキシアパタイトが口の中で脱灰され、支台歯の寸法が縮小あるいは窩洞の寸法が拡大し、修復歯の上に修復物が存在し続けられなかった。修復物の寸法精度を向上させる色々な研究が実らなかった原因は、象牙質支台歯の不安定さにあったと中林は考える。維持力を接着で増強して脱落を防止する研究も、天動説ではロケットや人は月に到達できなかったと同じように、歯科医療の発展には寄与できなかった現実を直視して欲しい。地動説が科学の発展には必須であったのである。修復物脱落後の支台歯はほとんど解け去って存在していないケース多かったと思う。
修復物が短期間に脱落した原因は維持力不足ではなく、支台歯と窩洞が口腔内で産生される乳酸により脱灰され、支台歯の寸法が変化するために脱落していたので、「ヒドロキシアパタイト」を乳酸に触れさせなくすることが、歯科の処置(むし歯を歯科材料で治療するとされてきた)に求められていることを理解すべきでる。これが、露出象牙質支台歯を人工エナメル質(中林の定義した刺激不透過性の樹脂含浸象牙質)で覆った人工エナメル質支台歯、刺激不透過性で耐酸性のある支台歯に改良してから、従来の修復処置を行う新しい歯科処置(医学)を提案しているゆえんである。
  良い材料(外国製!)で治す、新製品で治す。処置後の生活歯の術後疼痛、修復物の脱落などに眼を奪われ、科学の存在を軽視してきた歯科関係者に猛省を促したい。
歯科には抜歯を除いて医療が存在するかも十分に議論する必要があろう。「高級な材料を使えば永久にもちます」は明らかに詐称であったことを市民にわびるべきであろう。教育の現場でも非科学的教育が行われてきたことを認め、早急に科学に根ざした教育に改善すべきである。
歯(生きた組織)を患者の同意なく削去することは、今は訴訟の対象にならなくても、将来的には患者に訴訟を起こされる可能性のあることも覚悟すべきである。土壌の調整と肥料の供給法が農作物の収穫を左右するのである。病虫害の予防にも大きく影響するといわれている。疾患の治癒にも、患者の免疫力を高め、治癒力を向上させることが最近話題になっている。血液による栄養補給を期待できない歯の欠損部の再生を期待できないことは自明である。切削された創面を歯科材料で治癒に導けないことも自明であるとしたい。まして、「歯科材料で詰めて、かぶせてむし歯を治す科学」など存在しないのである。これが、二次カリエスの防止策が未だに発見されていない理由である。ただし、エナメル質の創面は、治癒しなくても残存エナメル質自身の機能により外来刺激を阻止できる可能性が高い。

「歯髄を除いて血流が無く、歯の組織には(自然)治癒能が欠落している」科学の理解(教育の問題)が、むし歯を切削する以前に問われている。現代科学では人工材料で傷(創傷)を治すことは不可能である。ここに最近話題になる医療過誤の原因のひとつが存在している。治療対象の組織に自然治癒能の存否を判断することは医学では強く求められているのである。
欠損部組織、あるいは凍傷のように治癒を期待できない疾患組織を切除後、感染防止のために創傷治癒が完了してから、リハビリテーションは実施されるのである。義手や義足の装着を考えて欲しい。欠損歯(ある種の障害を持つ歯:自己再生を期待できない)のリハビリテーションの位置付けも歯科では真剣に議論されるべきである。眼内レンズの挿入は白濁水晶体を粉砕除去して行われるが、挿入傷口は創傷治癒を期待できる軟組織である。抜歯窩でも歯周軟組織の癒着により、感染が回避されるのである。唾液に含まれるタンパク質の機能が感染防止に有効に働いていることも、強調しておきたい。M医師による疾患摘出腎の慢性腎不全患者への移植が医療として成り立つか、一つの解決策(延命策?)である可能性を示唆しており、慎重かつ迅速な議論が行われるべきであろう。
  t.o.h.で薦めている、切削象牙質面を刺激不透過性の人工エナメル質で保護してから(創面を擬似的治癒に導いた後)修復処置を始めることは、自己治癒能が欠落した歯の処置には必要不可欠であることを理解して欲しい。この点を理解できなかった近代歯科医学が二次カリエスによる修復物の脱落を阻止できなかったことも合わせて理解して欲しい。