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| ・接着させる基本 | |
接着させるには、固体の表面で液状の接着剤を固体に変化 (硬化) させることが必須である。硬化させるには、凝固、乾燥、化学反応(含む重合)など色々な方法がある。歯科では接着を議論する時、短絡的に重合が脳裏に浮かぶようである。接着と重合は次元の異なる用語であることを理解しなくてはならない。 モノマーを重合により硬化させることが多いため、ごく一部ではあろうが接着の議論と重合の議論を混同しているように感ずる。水でも凍らせる(固体に変化、凝固)と接着が可能である。霧氷やツララは立派に固体表面で接着している。接着と重合が関係するのはごく例外的な場合であり、モノマーを重合して接着する場合でも、重合(含む重合開始剤)と接着を区別して議論すべきである。これは冒頭に述べたように、重合しない系では接着の議論ができないので、接着を議論する前にモノマーの重合を確認しておく必要がある。接着性レジンの議論の中に重合の議論を入れると、接着の議論の焦点がボケてしまう恐れがある。 スーパーボンドの開発に当たっても、鉄イオンが共存しなければ接着できないという議論が実しやかに行われた苦い経験を5月10日のホームページで議論したつもりです。鉄イオンが重合開始を助けるという議論に、中林が加わらなかった真意を理解して欲しい。それよりも、接着の研究には被着体である固体の性質と接着剤(歯科では接着材)の性質の両者が関係するのであり、歯科では被着体の研究がほとんど行われてこなかった点に不満を持っている。ここに中林と歯科の研究者の間に大きなギャップがあったのである。どちらかというと中林は被着体の性質が歯科(象牙質)での接着の死命を制するとの考えが強かった。 MMA-TBBレジンは鉄イオンがなくても湿潤研削象牙棒に接着できるのである。言い換えると鉄イオンがなくてもMMAを重合できるのである、4-METAを溶かすと重合しにくくなる可能性もあろうが、接着と別の研究で議論すべきである。象牙棒(象の象牙質)にはMMA-TBBレジンを接着できるのに、ヒト象牙質、(ウシのそれ)には簡単には接着できなかったのは、ゾウ、ヒトやウシの象牙質のモノマー透過性に差があるためであり、MMAのコラーゲンへのグラフト重合は接着に直接関係しない。またヒトとウシ象牙質ではHAPの脱灰速度に差があることも、実験室のデータと臨床での性能に差が生まれる可能性のあることを示唆している。また同じヒトでも患歯の年齢などの関係で象牙質の石灰化の程度によって、被着体としての性質に差があることもこの場で触れておきたい。これはワンボトルの接着システムにもいえることであり、臨床の場では慎重に判断して欲しい。 スーパーボンドのエナメル質への接着には鉄イオンの存在は不必要であることから考え、4-METAのMMA溶液の重合(PMMA粉末共存下)には鉄イオンの存在は必須ではないのである。研究には一方向からのみではなく、多方面からの論理的議論が必要であることを強調したい。一面的議論の危険性は、円に見えるデータでも実は円盤、球、円柱など色々な可能性があることから理解できよう。 |
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