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| ・GAGsと10-3(鉄イオン)の関係 | |
4月19日の「中林が斬る」でGAGsが象牙質の中で何をしているかを説明したつもりです。スーパーボンドが生まれてきた歴史についても学んでおきたいと思います。 象牙質への接着により、修復物の脱落を阻止できると歯科関係者は信じるようになりました。この時、修復物が脱落する原因をきちんと分析(研究)する必要があったのです。「脱落」を阻止するには維持力の増強が必要であるというのが臨床家の判断でした。修復物が脱落したとき、「象牙質支台歯の寸法」は修復直後と同じでしたか。修復物をぴったり支台歯にセットするために、歯科では支台歯や窩洞にぴったり密着する修復物を作ることに腐心してきたのではありませんか。ぴったり密着し続けるには支台歯と窩洞の寸法も「不変」である必要は無いのでしょうか。象牙質は口腔内の環境で不安定であるのです。 接着材の研究開発は修復物の脱落阻止には無効であったのです。接着力は機械的性質を測って分るのですが、象牙質の不安定さは象牙質の組成と象牙質が置かれる環境によって決まります。健全歯の象牙質は外来刺激不透過性のエナメル質が守っているので安定です。エナメル質の砦が破られたら、何か砦の役目を代替できる人工の砦が必要なのではありませんか。 科学の進歩には正しい科学に立脚した研究が必要です。接着で修復物の脱落を阻止するには被着体と硬化接着材が安定である必要があります。歯科に科学が欠落していると中林が考える理由はここにあります。 スーパーボンドに10%クエン酸だけではなくて、3%塩化第二鉄が必要であったのです。これが象牙棒への接着を象牙質への接着に発展させるときに必要であったのです。GAGsが被着体の中に溶け出して、モノマーの拡散を妨げるか否かにかかっていたのです。この時塩化第二鉄が重合にプラスに働くから接着には有効であるとの仮説も可能ですが、象牙棒への接着には塩化第二鉄は不必要であった事実と矛盾します。中林が接着に重合が必要であるという考えに賛同できなかった理由は、自分達の研究を大切にしたかったからです。またコラーゲンにMMAがグラフト重合するから象牙棒への接着が可能であるという仮説が正しければ、コラーゲンを持つ象牙質にも接着できないのは科学の目から見ると矛盾しています。 GAGsの象牙質の中での働きは、過去に研究された形跡は無いようです。GAGsが脱灰象牙質の性質を左右していることも明らかにできました。また酸性の雰囲気ではHAPが酸と中和反応するためにGAGsが溶かし出され、象牙質が安定に存在できないことも明らかにできました。 正しい研究の道を進むのは困難を伴いますが、純粋な気持ちで一生懸命過去のデータと矛盾しないように研究を推進していると、誤った道に逸れていくことはないようです。 |
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