・象牙質知覚過敏症を予防して美しさも追求する歯磨剤

昨今、アンチエイジングの一環として、歯科においても審美治療が注目されています。矯正治療から始まり、セラミックス、ラミネートベニア等の修復処置がこれに該当します。また、 MI(ミニマル・インターベンション:最小限の生体侵襲)概念に基づく保存的な審美処置法として、PMTCなどのステイン除去や歯のホワイトニング処置などが挙げられ、歯科医院で頻繁に行われるようになりました。
しかし、どのような治療法であっても歯を傷つけることには違いありません。例えば、頻繁に行われるステイン除去やホワイトニングも然りで、知覚過敏の発症と密接な関連があります。私たちが行う診療行為が原因で、知覚過敏を発症させないためには、ステイン除去の手法やツールに工夫が必要であるばかりでなく、着色のメカニズムを知ることも重要ではないでしょうか。
一般的に歯の表面に着色するメカニズムは、歯の表面に存在するカルシウムが唾液由来のタンパク(ペリクル)を吸着させることから始まるといわれています。ある報告1)では、着色物質の付着した乳歯、成熟永久歯、硬質レジン歯のほとんどの表面から歯質構造には無関係な「S:イオウ」が検出されたとあります。つまり、着色にはカルシウム、ペリクル、イオウが関与していることが判明しました。
着色の原因となる要素は、以下に大別することができます。

☆ 着色しやすい歯の表面構造:臨床的には「乳歯_幼若永久歯_成熟永久歯」の順に口腔細菌が付着しやすいので、この順に着色しやすく、う蝕になりやすいといえます

☆ 着色しやすい飲食物や医薬品:食品(ポリフェノール、イオウ成分を含む食物、着色性の強いビタミンなど)、タバコのヤニ(タール)、クロロヘキシジンやフッ化第一スズ、漢方などの経口医薬品など

☆ 着色しやすい口腔環境:プラークコントロールが困難な歯、嘔吐反射の強い人、口唇閉鎖不全、口腔乾燥症など

☆ 歯冠修復や補綴に使われる歯科材料:コンポジトレジン、ハイブリッドセラミックスなど

各メーカーでは、「カルシウム、ペリクル、イオウが着色のメカニズムに関与している」ことに着目し、「セルフケアでステイン除去ができる歯磨剤」を研究開発、市販しています。私たちの歯科診療所においても、飲食(お茶やワインなど)による着色に対しては、飲料水(ただの水)も同時に摂取してもらう工夫や、軽い着色であるならば除去できるという理由から市販のステイン除去専用の歯磨剤を推奨しています。
この度、知覚過敏の効果と美白効果を併せ持った製品が発売されました(シュミテクト ステインリームバル:グラクソ スミスクラインhagashimiru.jp)。この製品の特長は、ステイン除去(清掃剤:改良ツインシリカ配合)をしながら同時に知覚過敏(硝酸カリウム配合)を抑えるというものです。これにより、歯がしみるリスクを回避しながら、美を追求することが可能になりました。
また、象牙質知覚過敏症に関しては、当HP内の「歯と生活習慣病:その他のお口に関する問題」の項でも詳細が記載されておりますのでご参照ください。(http://www.t-oralhealth.org/shukan5_4.html)(歯科衛生士:深川 優子)

1。鈴木 芽、阿部 二郎:「歯の着色」、デンタルハイジーン、140-149、Vol.26、No.2、2006)