・時代は変わった! ガムとお菓子でむし歯予防?

 いやいや時代は変わったものですね。その昔はむし歯の敵は甘いお菓子にガムといわれていました。それはなぜかというところから話をしましょう。お口の中にいるむし歯菌(主にミュータンスレンサ球菌)は、プラークと呼ばれる塊となって歯にべったりとついています。そして、食物の中に含まれるお砂糖や炭水化物をエネルギー源として利用し繁殖していきます。その過程で代謝される酸によって歯の表面は溶かされてしまいます(これを脱灰といいます)。

 でも、人間の体はよくできており、細菌の塊であるプラークを取り除いてきれいなエナメル質を露出さえすれば、今度は唾液に含まれているカルシウム分が、むし歯菌が溶かした表面を一生懸命埋めていってくれます(これを再石灰化といいます)。歯の表面は食事のたびにこういった溶かしたり埋めたりということを繰り返し、脱灰される量の方が再石灰化される量より多いとむし歯になってしまいます。

 ただし、再石灰化の時間は脱灰される時間の10倍以上はかかりますから、この時間(つまり再石灰化の途中の時間)に飴やガムなどの甘いものを食べてしまうのは、せっかくの唾液の働きを邪魔してしまうことになります。それが、ガムや飴が敵視されていた最大の原因なのです。ですから、甘いものを取るのは量ではなくて、頻度が大切なのです。

 まあ、これが今までの考え方でしたが、最近では砂糖の代わりに再石灰化を促す効果のあるキシリトールやリカルデント、ポスカムなどがガムや飴の中に含まれるようになって、むしろこういったものをとった方がむし歯にならないという考えも示されてきました。しかし、これらをとっていれば、歯磨きをしなくてもよいなどとは間違っても考えてはいけません。プラークをきちんと取り除いてきれいなエナメル質面を出さない限り、どんな薬も何の役に立たないことを忘れてはいけません。プラークコントロールをして、プラークを作りにくいお菓子を食べる、これがかしこい方法です。

 乳酸菌LS1を含んだ錠菓も発売され、これは歯周病や口臭予防に効果があるとも言われています。こうなると、使い方さえ間違わなければ、ガムやお菓子はお口の健康の敵ではなくて味方になったのですね。時代は変わったもんだ!
(安田 登)