■入れ歯でもよく噛めます
入れ歯はいつからあったの?

入れ歯はいつ頃からあったのでしょうか。取り外しのできない、いわゆるブリッジと呼ばれるものは、古代エジプトの頃からありました。金線や金のバンドによって残っている歯をはさみこんで、動物の歯や抜けた人の歯を使っていたのです。
実際に生きている間に使われていたのか、あるいは埋葬準備中のものだったのかは議論の分かれるところですが、金線で結ばれた歯がエジプトの遺跡から見つかっています。

取り外しのできる入れ歯はどうかというと、それほど古いものは見つかっていません。1728年に近代歯科医学の祖と言われるフランスのピエール・フォシャールが象牙を使った総入れ歯を作りました。しかしながら彼が作った総入れ歯は上下顎の総入れ歯をスプリングでつないだもので、あまり実用的なものではありませんでした。

そのため当時の入れ歯を使用していた欧米の貴婦人達は、宴席では決して食事には手をつけなかったそうです。
ところがこれより200年も前に、すでに日本では入れ歯が作られていたのです。
現存する世界最古の入れ歯、それは1538年に没した仏姫が使用したとされる木製の総入れ歯で、和歌山市の願成寺に保存されています。この入れ歯の特筆すべき事は、気圧の作用によってはずれないようにするという現代の総入れ歯と同じ原理を応用したもので、見栄えだけでなく実用性があったことです。
日本では木製の入れ歯が作られていましたが、強靱で肌触りがよいことから黄楊 (つげ)が多く使われ、また桜や杏などの芳香性のある木が使われることもありました。もともと日本では仏教の伝来以降、仏像を木で彫刻する技術が発達していましたから、もしかするともっと昔から入れ歯が作られていたのかもしれません。