■歯周病はサイレント・ディジーズ
「成人病」から「生活習慣病へ」

「成人病」は、脳卒中や心臓病などの予防対策を行うにあたって便宜的につくられた行政的な用語です。1996年(平成8年)、従来の慢性疾患の総称として用いられていた「成人病」という名称を「習慣の改善によって病気の予防や治療を行う」という考え方から「生活習慣病」と呼ぶようになりました。イギリスやフランスでもこの名称が使われ、アメリカでは「慢性疾患」、ドイツでは「文明病」といわれています。

生活習慣病は、食生活や運動のバランスの乱れから生じると考えられており、生活習慣の改善により予防が可能です。生活習慣が直接に深刻な病気を引き起こすことはありませんが、生活習慣の偏りによって、血圧や高コレステロール血症、糖尿病の異常などを引き起こし、循環器疾患などの発症に結びつくことになります。
 
生活習慣病とその原因となる主な生活習慣との関係
食習慣 :糖尿病、循環器疾患、肥満、高尿酸血症、高脂血症,大腸がん、高血圧、歯周病
運動不足:肥満、高脂血症、糖尿病、高血圧
喫 煙 :肺がん、循環器疾患、慢性気管支炎、歯周病、肺気腫
飲 酒 :アルコール性肝疾患

「生活習慣病に関する世論調査」の結果から日本人の4人に3人が生活習慣病を予防するために、生活習慣の改善に配慮していることがわかりました。
しかし、多くの生活習慣病に共通する危険因子としての高脂血症や肥満を「怖い」と認識しているのは3人に1人以下しかいなかったということです。これは、「症状がないと病気として実感されない(沈黙の病気)」という生活習慣病の怖さを、改めて私たちに認識させてくれています。歯周病も同じように生活習慣病として考えていかなくてはいけない時期になってきていると思います。
そして、健康を増進し生活習慣病を予防する方向へと、私たちの意識を変革して日々実践していく努力が求められています。

厚生労働省では「21世紀における国民健康づくり運動(健康日本21)」を平成12年から10年間にわたって実施します。この「健康日本21」は、健康寿命の延伸および生活の質の向上を目的とし、生活習慣の改善により「健康を増進」し「生活習慣病を予防」することで国民一人ひとりの健康を実現しようという国民健康づくり運動です。

 健康増進(Health Promotion)の考え方は、もともと1946年にWHO世界保健機関)が提唱した「健康とは単に病気でない、虚弱でないというのみならず、身体的、精神的そして社会的に完全に良好な状態を指す」という健康の定義から出発しています。1950年代から一次予防の中に健康増進が位置付けられ、1970年代になるとカナダのラロンドが疾病とは対比した健康を増強させることを意味する概念的な定義をし、1980年には米国のマクギニス技官がより健康の改善を目指すために科学的に立証された数値目標を人生の年代別で設定し、国民運動としてその目標を達成する手法をとっています。

これによってヨーロッパをはじめ世界に健康に対する意識が広がり、カナダのオタワでは国際会議が開かれるまでになったのです。その後、目的指向型健康増進施策が各国で設定され、日本でも平成12年より「健康日本21」が推進され、さらに健康増進を積極的に推進するために、健康増進法が平成15年から交付されてきているのです。このように健康増進という考え方は時代によって内容が変遷しています。私たちも、健康について、生活習慣についてもう一度考え直す機会でもあると思います。