■むし歯になってしまったら
接着を応用したむし歯の治療

むし歯には、昔から行われている分類法ですが進行度によってエナメル質のみのむし歯(C1)、象牙質まで進行したむし歯(C2 ̄3)、歯髄(神経と血管がはいっているところ)まで達してしまったむし歯(C3 ̄4)の3段階に分けられ、それぞれのステージに対し適応した治療法がとられます。

エナメル質のみのむし歯(C1)の治療
エナメル質のむし歯にも歯の表面だけが溶け白くにごって見える状態と、エナメル質の一部に穴があいた状態とにわけられます。白濁程度であれば、歯ブラシやフロスなどでしっかりプラークコントロールを行い、日ごろの食生活(特に糖分の摂取とタイミング)に気をつけフッ化物入りの歯みがき剤を使用するなどで経過を観察します。子供の幼若な永久歯であれば、ケアしていれば再度石灰化がすすみ、白濁が消えてもとの戻ることもあります。また成人の歯では、白濁の状態を超えて表面に少し穴があきはじめた状態でも、お口の環境からみて進行する危険性のない場合はそのまま様子をみる場合もあります。しかし穴があいていてしまっていて、プラークコントロールもうまく出来ずそのまま放置すると象牙質まで進行する危険性が高かったり、ものがはさまって不快であったりという場合には、悪くなった部分を削り取って除去し、つめものをします。現在ではほとんどが接着を応用したレジンをつめる治療がおこなわれます。以前は、つめものやかぶせ物がとれないように溝を余計にほったり、深く削ったりという治療が主でしたが、接着性レジンの進歩のおかげで最小必要限に歯を削るだけですむようになりました。

象牙質まで進行したむし歯(C2)の治療
エナメル質を超えて象牙質まで進行した場合には、むし歯菌の代謝する酸(主に乳酸)によってやわらかくなってしまった歯質(軟化象牙質とよびます)を除去する必要があります。はじめにの項でも述べてありますが、身体の他の部分に例えればエナメル質は外皮に、象牙質は身体の内部に相当します。したがって露出した象牙質は、切り傷と同じです。そこで、軟化してしまった象牙質を除去した後、露出した傷口を外来の刺激から遮断する必要があります。そこで活用されるのが接着性レジンです。接着性レジンが歯の表層に拡散してそこで固まり、レジンが含浸した層(樹脂含浸層)ができるという性質から、従来のセメントにはなかった象牙質の保護作用が働きます。私達はこれを人工エナメル質と呼んでいますが,この人工エナメル質は酸によっても溶けにくいことがわかっており、傷口の外来刺激からの保護のみならず、将来的に再度むし歯になりにくいという利点もあります。そして傷口の保護を接着性レジンでおこなったあとは、むし歯の大きさや咬み合わせの具合、審美的な要素を考え合わせて、コンポジットレジンという歯の色をした樹脂をつめたり、金属のつめものやかぶせものをしたり、セラミックスやレジンとセラミックスのハイブリッド材料をつめたりします。
従来の治療法ですと傷口である象牙質に接着性のない材料でカバーしたり、場合によっては、直接つめものをしたりかぶせたりしていました。そのため、術中に大変しみたり、治療したあともしばらくしみて不快であったりしましたが、この方法ですと傷口がレジンによって保護されているため、術後にしみる不快症状はほとんどなくなります。