■どうしたらあなたの歯を守れるか
フッ化物について

フッ化物とはフッ素原子が含まれている化合物です。フッ素イオンが歯の無機質成分・塩基性ヒドロキシアパタイトに触れると、耐酸性のフッ化アパタイトに転換され、乳酸と反応しにくくなります。塩基性ヒドロキシアパタイトと、口腔内でむし歯を作る原因菌といわれているミュータンスレンサ球菌などが作り出す乳酸とが中和反応して、ヒドロキシアパタイトが溶かされて歯が脱灰されます。これが虫歯の原因であることを考えると、フッ化アパタイトは虫歯の抑制効果があることは納得できます。この効果は疫学的調査により偶然見つかったものでした。20世紀の初めにアメリカで斑状歯(斑点や縞が見られる歯)の調査が行われ、斑状歯の原因は地下水のフッ素イオン濃度の高い地域で、これを水道水として供給していることが原因であることがわかりました。その時、同時に虫歯の調査を行ったところ、斑状歯が多く見られる地域では虫歯が少なかったのです。

虫歯は口の中の細菌が作り出す乳酸が歯を溶かすことによって起こりますが、食物を食べれば口の中は一時的に酸性に傾いて歯の表面は溶かされ(脱灰)ます。通常は唾液の緩衝能によりに、唾液は中性を示すようになりますが、歯の表面には食物残渣を利用してミュータンスレンサ球菌等が唾液不溶性のプラークを作り、その中でミュータンスレンサ球菌などが作り出す乳酸は歯を効率的に脱灰してしまいます。ですから、これを防ぐために食後にはブラッシングによるプラークコントロールを実施する生活習慣を体得する必要があります。 
フッ素の働きは脱灰を抑え、再石灰化を促すことであり、また再石灰化する時にフッ素が歯に取り込まれると歯の耐酸性が上がります。さらにフッ素には細菌の病原性を弱める効果もあると言われており、その結果虫歯になりにくい歯になるわけです。

フッ化物を応用するには、フッ化物配合歯磨剤(歯磨き)、フッ化物洗口剤、フッ化物歯面塗布剤があります。フッ化物配合歯磨剤の市場占有率は87%(2003年)ですので、ほとんどの歯磨剤にはフッ素化合物が入っています。フッ化物洗口は保育園や学校などで実施されることが多いですが、個人でも行うことができます。フッ化物歯面塗布剤は歯医者さんで行われるもので、フッ素の濃度は歯磨剤や洗口剤に比べかなり濃いものになっています。

歯は生えてきた数年間が最も虫歯になりやすい時期なので、フッ化物の応用も幼児期から学童期・生徒期に、学校保健をベースとして行われてきました。しかしながら最近では根の虫歯に対してもフッ化物が有効であるとされ、成人や高齢者を含めてライフステージに応じた応用が検討されています。もちろんフッ化物だけで虫歯を防げるわけではなく、先ほど述べたようにプラークコントロールや食生活が大切であることは言うまでもありません。