・第2回国際接着歯学会に出席して

会長 中林宣男

私は今回の国際接着歯学会のあまりの中林無視に腹を立てているし、プログラム委員の世界の情勢を無視したプログラム構成に腹立たしさを感じた。これならば、IADRに出席したまま帰国せずにアメリカでTOH活動を続けるべきであったと反省している。こんな学会にわざわざ帰ってきて余命短い中林の受けた損害は大きいのです。外国からの招待講演者も一部の流派の人で固められていたといわざるをえない。外国から日本の進歩した接着歯学を学びたいと思って参加した人たちの評価は如何であったか。第1回は皆さん満足してくださったと聞くし、これが第2回にも参加したいという原動力であったのであろう。一部の人たちは、何故中林は樹脂含浸象牙質の講演をしないのと質問してきた。アメリカで講演すると外国からの留学生が中林の話は面白かったと講演後寄ってきて、写真を取らせてといってくれる。日本でも若い人たちに写真を一緒にといわれた。

クラレをはじめ接着性コンポジットとセメントを製造販売している各社とも何故樹脂含浸層なのか、彼らが製造している商品は化学反応で接着していると1社を除いて説明してくれた。誰がどんな研究を通して樹脂含浸象牙質(人工エナメル質)を作れば歯質に修復物を接着できる結論に到達したか全く勉強してくれていない(中林の知的財産無視で、損害賠償の訴えを起こしたいくらいです)。過去の人々の努力の積み重ねで歴史は作られることを忘れては、文化は進歩しない。それで臨床成績が良いのは化学結合のせいだとされては、化学結合を否定して教室を首になりそうになりながら育て上げた中林の科学はどうなるのでしょう。殺して、成果だけ奪うなんてひどすぎます。これが日本の(世界の)歯科医学のレベルなのでしょうか。皆さん樹脂含浸層で接着しているのに、酸性モノマーがヒドロキシアパタイトと化学結合したと結論して下さっている。化学反応はモノマーが拡散した後でないと起こらないことを忘れてもらっては困る。中林はきちんと論文に報告すると共に、昭和54年ごろ総説に書き残している。

樹脂含浸層の中を水が動くという研究結果は、中林の定義している樹脂含浸層ではない。中林は乳酸非透過性の層を樹脂含浸層と理解している。だからこそ酸に弱い切削象牙質の保護が始めて可能になったのである。一時代前の言葉ではマイクロリーケージが起こらないし、修復物の脱落も起こらない歯科治療が受けられるし、歯科治療を受けた後、しみることもないのである。これらは酸不透過性を保証した樹脂含浸層によって可能であり、口腔内で消えるような樹脂含浸層ではこのようなすばらしい治療は成り立たないのである。これでは、リン酸亜鉛セメントで歯科治療をしていた時代へ逆戻りしているといわざるをえない。